様子見ムード
事実、本年秋に予定されている総裁選を前に、ポスト安倍を巡る有力候補をはじめ、自民党内では様子見ムードが目立つ。総裁選まで
時間があるので何が起るか全く分からないが、目下即「安倍降ろし」という雰囲気はそこまで強く出ていない。

1980年代以降、5年以上続いた長期政権は3つしかない。(1)中曽根、(2)小泉、(3)第二次安倍である。

5年半続いた小泉純一郎内閣の場合、2005年の郵政選挙圧勝の後、総裁任期を特例で延長する構想があった。が、小泉が従前の宣言通
り勇退を崩さず、ポスト小泉「麻垣康三」(麻生、谷垣、福田、安倍)とよばれる4名の総理総裁候補が出た。

このうち、谷垣を除いて全てが小泉以降、総理大臣になった。だが、目下支持率が低下するなか、小泉政権と同等の長期政権になった第
二次安倍政権下で、「麻垣康三」に類する強力なポスト安倍候補は見当たらない。

石破茂氏は本年4月に予定していた総裁選出馬宣言を保留している。小泉進次郎氏は安倍批判を強めるが、去就を明らかにしていない。何
より37歳にしていきなり首相の任を負うのは困難だろう。女性初の首相候補と目される野田聖子氏は地元岐阜県で女性政治塾を開校して総
裁選出馬への布石を打っているが、明確な潮流になるまでには至っていない。様子見ムードばかりが漂っているのだ。

公文書の改竄はかつてないほど重大な問題である。一度決裁された公文書があとから幾らでも改竄できるとなると、国民は行政の行いを監
視・検証出来なくなり、後世の歴史家は史料を元にした歴史研究が出来なくなる。

この問題は、「官僚が全て悪い」との結論になれば官を統治できない行政府のガバナンスの責任が問われるし、行政府が関与したとなると重大な犯罪行為を政治家が犯した事になる。

進むにせよ引くにせよ地獄が待っているとしか思えないわけだが、どうも自民党内の有力政治家は、岸田文雄氏を筆頭として、たとえ安倍晋
三総理の出身派閥・清和会とは異なる派閥であっても、奥歯にものが挟まったような言い方に終始している。

これは、敵対派閥のあらを探し、すわ政局となれば他派閥攻撃に出て、「○○降ろし」などという政局になった70年代、80年代の自民党政治とは全く異なる様相を呈していると言える。

逆に言えばなぜ、第二次安倍政権は自民党内にあってもそこまで強い権勢を維持できるのか、なぜ安倍は強いのかという疑問を惹起する事になる。

結論から言えば、安倍政権は過去5回の国政選挙の全てで圧勝しているからである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55313