民進党の小西洋之参院議員が16日夜、国会近くの路上で防衛省統合幕僚監部の3等空佐から「お前は国民の敵だ」と繰り返し罵倒された問題は、過去の暗い歴史を思い起こさせた。
シビリアンコントロール(文民統制)の下にある現職自衛官が語った言葉の意味や影響を考えた。【和田浩幸、中川聡子】
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◇各国で「国民の敵」名指しの悲劇

「国民の敵」という言葉で始まった悲劇は国内にとどまらない。
旧ソ連の独裁者スターリンは反対派を「人民の敵」と名指しして粛清。
同じ言葉が中国の「文化大革命」でも使われ、毛沢東の政敵や知識人らの迫害につながった。

最近では、米国のトランプ大統領が批判的なメディアをけん制する際にも使用した。
井上さんは「考えが異なる人を分断して攻撃し、支持を得る手法が世界的に広がっている。
立場を忘れてまで相手を非難した3佐の発言は、そうした潮流が一般国民にも浸透し、感覚がまひしている表れかもしれない」と語る。

「職業上の立場から抑制が働くべき自衛官が、抑制が利かない状態になったことが問題だ。国民全体の奉仕者としてどう教育してきたかが問われている」。
旧防衛庁出身で内閣官房副長官補を歴任した柳沢協二さんはこう語る。
「今回は一種のヘイトスピーチで、他者を排斥する心情の表れだ。自衛隊は世の中の縮図であり、世間に充満した雰囲気が表れたのではないか。分断と排斥が現代の戦争の要因になっていることを肝に銘じるべきだ」と警鐘を鳴らした。
(毎日新聞)
https://ryukyushimpo.jp/mainichi/entry-703369.html
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