レイシスト(人種差別主義者)によるヘイトスピーチがマスコミを賑わせていた2013年1月、レイシストしばき隊(以降、しばき隊)の最初の隊員募集が行われた。
翌月の9日、しばき隊は新大久保近くの集会場に集まり、当日の行動指針を参加者に披露した。
いわく「デモは無視する。レイシストに対面し、上から目線で叱りつける」。そして、当日の目標としてレイシストがデモの後に「お散歩」と称して、商店街に入り込み通行人や商店に対して行うヘイト行動を阻止する。

 しばき隊の活動はこれまでの左翼運動やリベラル派の活動とも様相を異にする。レイシストを取り込んでの居酒屋での説教イベントへの彼らの参加の受け付け。
その後、しばき隊とは別のグループの反レイシスト運動への参加が相次ぐ。本書はこうした流れを実録し続けた著者のルポルタージュ。

(河出書房新社 1800円+税)