図書館、小中学校、公衆浴場――。炭鉱で栄えた地域の生活を支えた施設は次々に閉鎖され、
いずれも2〜3メートルの積雪で入り口がふさがれていた。

3月上旬、2007年3月に財政破綻(はたん)した北海道夕張市を訪れた。
11年間で人口は3割減少し、町はすっかり疲弊していた。

かつて多くの炭鉱労働者が住んでいた市営住宅は、電柱が傾き、窓ガラスが割れていた。
昼間でもJR夕張駅前や商店街に人影はなく、車で移動していても対向車線の車とすれ違うことはほとんどない。

JR北海道の経営難により、夕張駅を通る石勝線夕張支線は来年4月で廃止される予定だ。
駅の近くで喫茶店を営む女性は「駅の利用者はわずかだし、あまり影響はないと思う」と話す。

公園、プール、テニスコート、公衆トイレ、老人ホーム、市民会館。廃止された施設は多岐にわたり、住民サービスはことごとく削られた。
喫茶店の女性は言う。「役所に頼らず、自力で何とかする。私たちはそうやって11年生活してきた」

https://www.asahi.com/articles/ASL3Z7S6YL3ZPTIL043.html
天井に大きな穴が開いた市役所の出入り口=3月8日、北海道夕張市役所
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20180403001828_comm.jpg
表面がめくれ上がった会議室の机。会議時は手や資料で押さえながら使っているという
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20180403001801_comm.jpg
財政難で閉校になった市立中学校。玄関前には2メートル近い雪が積もっていた=3月9日、北海道夕張市
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20180403001952_comm.jpg
かつて炭鉱労働者らが住んでいた市営住宅。老朽化が激しいが、夕張市に改修する予算はない=3月9日、北海道夕張市
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20180403002014_comm.jpg