この宇宙がどのように誕生したのか、どんな姿をしているのかといった疑問を解き明かす鍵を握っているとされる超弦理論。
この理論によれば、我々のいるこの宇宙は10次元で構成されているという。人間が直感的に理解できるのは空間の3次元と時間の1次元だけだ。
では、それ以上の高次元はどのような世界なのだろうか? 

■謎のカラビ・ヤウ空間

 超弦理論ではこの世界は空間の9次元と時間の1次元、計10次元の時空で構成されているとされる。
このうち、我々が認識できるのは3次元の空間と時間の1次元だけだ。残りの6次元(余剰次元)はどうなっているのかといえば、
小さく折りたたまれて「コンパクト化」されていると考えられている。それがどのような形をしているのかというと、
カラビ・ヤウ多様体という非常に複雑な形状をしていると予測されている。

 カラビ・ヤウ空間は非常に小さく、人間にはとても知覚できない。また非常に複雑で難解な空間で、多くの謎に満ちている。
しかしこの空間のおかげで、9次元の超弦理論を用いて我々の3次元空間を説明できるようになったのだ。カラビ・ヤウ空間の秘密、
ひいては超弦理論が示す宇宙の謎を解き明かすべく、多くの科学者たちが日夜研究に明け暮れている。

■もしも高次元を認識できたなら

 ではもし仮に、人間が高次元の世界を認識できたとしたら、そこには一体どんな世界が広がっているのだろうか? 
オルタナティブメディア「Disclose.tv」の記事によれば、それは次のようなものらしい。

まず5次元と6次元では、別の世界の可能性が出現するという。

・5次元を認識できるとすれば、自分の世界とは少し違う別の世界を覗き見ることが可能になる。

・6次元を認識できるとすれば、この宇宙と同じようにビックバンで生まれたすべての世界を移動できるようになるという。

・7次元を理解できるとすれば、ビックバン以外の可能性で生まれた宇宙にさえアクセスできるという。

・8次元を認識できるとすれば、あらゆる宇宙の可能性を見ることができるという。

・9次元を認識できるとすれば、物理法則や初期条件の違う宇宙の全てを比較できるという。

・そして最後、もしも10次元を理解できたとしたら? そこは人間の理解を超えた世界、想像のその先、すべての可能性が許された次元だという。


■万物の理論

 空間3次元と時間1次元のこの世界しか、私たちには認識できない。だが、その外に全く違った世界、
異なる認識を与えてくれる視点があると考えるのは、物理学者ならずとも胸弾むひと時であろう。

 超弦理論は物質を構成する最小単位・素粒子の性質や振る舞いに関する学問であり、
この宇宙のすべての物理現象を記述できる「万物の理論(Theory of Everything)」となりうる可能性を秘めている。
超弦理論は現在でも、私たちにこの宇宙の思いがけないほどの奇妙さ不思議さを教えてくれる。もし万物の理論が完成したなら、
それは一体私たちにどんな世界を見せてくれるのだろうか?

(吉井いつき)
http://tocana.jp/2017/11/post_15141_entry_2.html
参考:「Disclose.tv」「Wikipedia」、ほか