ついに発生した人類史上初の集団ドローン攻撃

(略)さらにここにきて、人類史上初の自家製ドローンによる集団攻撃が実施
され、大きな衝撃となって報じられている。今回は、その概要と意味について
論じてみたい。まずは、その概略を見てみよう。

 1月5日、13機のドローンがシリアに展開するロシア軍を襲撃した。10機が
フメイミム空軍基地へ、3機がタルトゥース海軍基地に向かい、攻撃を敢行した。
これらは固定翼タイプの無人機であり、10発の爆弾を抱えていた。
 ロシア国防総省の公式発表によれば、7機は対空ミサイルによって撃墜され、
残り6機は対ドローン電子戦装置によって強制着陸された。着陸に至った6機の
半数の3機が爆発し、結局、3機が鹵獲されたという。
 ドローンの機体を調べたところ、飛行経路はGPS誘導され、最大100キロメー
トルもの航続距離をもっていた。これは戦艦大和の主砲の約2.4倍以上もの
射程距離であり、伊東温泉から東京駅の距離に匹敵する。
 だがそれ以上に注目すべきは、これらの機体がありふれた民生品で構成された
ハンドメイドだったことだ。動力は草刈り機のエンジン、胴体は木とプラスチック、
爆弾は手榴弾(ロシア側はウクライナ製と主張)、電子機器は市販品であった。
英エコノミスト誌等の見積もりによれば、これら機体の価格は数千ドル
(約数十万円)でしかなかった。

 当初、ロシア軍の複数の戦闘機がダメージを負ったとの報道も出たが、ロシア
側は被害は一切なかったと主張している。ただし、12月31日にも同空軍基地は
ドローン攻撃を受け、少なくとも2名のロシア軍人が死亡した。この他にも定期
的な攻撃が行われ、何らかの損害が出ている可能性もある。
 この事件は、英エコノミスト誌が「自家製ドローンは既存の軍隊の脅威」と
して取り上げたほか、他の各種報道も大きく取り上げ、さまざまな専門家が
論評している。
 では、なぜ、被害もよく分からない攻撃が大きな論議を呼んでいるのだろうか。
それは、これまでは米中ロ等の大国にのみ許された「大国の軍隊への航空爆撃」
という手段が、小規模な武装勢力によって安価かつ容易に可能になったことが、
いよいよ証明されつつあるからである。(略)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52395