■怒気はらんだ首相

逆に9日の日韓首脳会談は首脳間の絆を一切感じられない内容だった。

会談は約1時間。安倍は冒頭の写真撮影からほとんど笑みを見せず、穏やかな口調ながらその一言一言は怒気をはらんでいた。

これに対して、文在寅は愛想笑いを浮かべて相づちを打ち、日米韓の連携の重要性を口にするが、具体性に乏しく曖昧な表現ばかりだった。

会談の同席者は「文在寅は『北の非核化まではちゃんとやる』と言うが、まるで非核化への道筋の中に対話があるような言いぶりだった」と打ち明ける。

日米が描く対北朝鮮のシナリオは、制裁・圧力で北朝鮮を徹底的に追い込み、核・ミサイル開発方針を転換させるならば「ご褒美」として対話にも応じるという筋書き。
文在寅のシナリオとは正反対なのだが、文在寅はその矛盾にあえて踏み込もうとしなかった。

安倍が米韓合同軍事演習について「延期すべきでない」と述べたことに対し、文在寅は「わが国の問題だ」とだけ反論した。

韓国政府は翌10日に「大統領は『われわれの主権の問題であり、内政問題だ』と述べた」と公表したが、他の案件ではほとんど反論できなかったことを自ら明かしたといえなくもない。

http://www.sankei.com/world/news/180213/wor1802130013-n5.html