■怒気はらんだ首相

 逆に9日の日韓首脳会談は首脳間の絆を一切感じられない内容だった。
 会談は約1時間。安倍は冒頭の写真撮影からほとんど笑みを見せず、穏やかな
口調ながらその一言一言は怒気をはらんでいた。
 これに対して、文在寅は愛想笑いを浮かべて相づちを打ち、日米韓の連携の
重要性を口にするが、具体性に乏しく曖昧な表現ばかりだった。
 会談の同席者は「文在寅は『北の非核化まではちゃんとやる』と言うが、
まるで非核化への道筋の中に対話があるような言いぶりだった」と打ち明ける。
(略)
 安倍が米韓合同軍事演習について「延期すべきでない」と述べたことに対し、
文在寅は「わが国の問題だ」とだけ反論した。
 韓国政府は翌10日に「大統領は『われわれの主権の問題であり、内政問題
だ』と述べた」と公表したが、他の案件ではほとんど反論できなかったことを
自ら明かしたといえなくもない。

 慰安婦問題でも、文在寅の態度はどこかあやふやだった。
 安倍は会談冒頭で、韓国が一方的に公表した日韓合意に関する新方針を
「受け入れられない」と断じた。迫力に押されたのか、文在寅は、日韓合意
を破棄しない▽再交渉しない▽「和解・癒やし財団」は解散しない▽日本が
拠出した10億円は返還しない−など4つを明言した。
 ところが、安倍が、在韓日本大使館前の慰安婦像撤去など合意の速やかな
履行を迫ると「微妙な問題だからそう簡単には解決できない」「(元慰安婦
の)おばあさんたちの気持ちが癒やされれば自然に解決するはずだ」などと
釈明した。
 すると安倍はたたみかけるようにこう言った。
 「朴槿恵前政権の時に(10億円など)取るものは取っておいて実行でき
ないというのはありえない」
 「日韓合意については、日本にも国民から強い反発があった。相当の
批判があった。しかし、あえてここで決断しないと日韓関係は前に行けない
と考え合意に応じた。あなたも国民の高い支持があるんだから決断しなけれ
ばならない」
 文在寅の顔から愛想笑いが消えた。最後まで議論がかみ合うことは
なかったが、文在寅も「国家間の合意」の重さが身に染みたのではないか。
http://www.sankei.com/world/news/180213/wor1802130013-n4.html