「生まれつき髪の色が茶色いのに、先生に黒染めを強要された」「なんで学校指定の鞄じゃなきゃいけないのか」ーー。教育現場での指導をめぐり、こうした不満の声が生徒や保護者から出ることは珍しくない。

今年に入っても、いくつもの問題が明らかになっている。東京・銀座の公立小学校では校長が主導して高価なアルマーニの制服(標準服)として採用されることが決まり
、富山県の県立高校では生徒44人の髪を教諭が切り校長が「不適切な指導だった」と謝罪したという。

「校則や生徒指導って、いったい何だ」。こんな疑問を抱く人は少なくないだろう。弁護士ドットコムニュースでは2月9日、
自由な校風と全国有数の進学実績を両立させる私立麻布中学・高校(東京都港区)の平秀明校長に、校則や生徒指導に関する考え方を聞いた。

●教育現場で統制強めるべきではない

ーー学校の指導が最近も問題となっているようです。銀座の公立小学校ではアルマーニの制服が導入されるとの報道もありました

「驚きました。それは『アルマーニ』じゃなくて、『あるまじき』ですよね(笑)。公立小学校で制服があるということは知りませんでした。
私は教育現場で統制を強めることはいいことじゃないと思っています。国の考えを注入する機関でもありません。一人の人間としてしっかり確立させるというのが教育の大前提です」

●学園紛争きっかけに校則なくなる

ーーなぜ麻布はここまで自由な校風になったのでしょうか

「過去に大きな出来事があったのがきっかけです。1960年代後半から1970年代前半にかけて、学園紛争が盛んだった頃、
麻布でも政治集会に参加する生徒が出てきて、ヘルメットをかぶった複数の生徒が当時の校長室を占拠するということもありました。

普通の学校なら強制的に排除するのでしょうが、麻布では話し合いを重ねた結果、全校集会において意思の集約ができ、
生徒の自主活動は基本的に自由であるという約束が交わされました。すると、校長室を占拠していた生徒たちも綺麗に掃除して退去していきました。のちに、
彼らは退学処分を受けることなくみんなと一緒に卒業しています」

ーーそれで校則もなくなったということでしょうか

「はい。こうした出来事をきっかけに、校則がなくなりました。私自身、1973年に麻布に入学しているのでちょうど自由な校風に切り替わった直後の世代です。
それまでは体育の教師が校門前に立って指導するという他校と同じような光景があったと聞いています」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180212-00007418-bengocom-soci