学校教職員の働き方を考えるシンポジウム「学校教育現場は、今…」(主催・沖縄タイムス社)が10日、那覇市内のホテルで開かれた。

「尾木ママ」で知られる教育評論家で法政大学特任教授の尾木直樹さんが「先生も人間らしく働ける学校を」と題し講演したほか、学校関係者や専門家4氏がパネルディスカッションした。

尾木さんや登壇者からは「教員は忙しくてトイレに行く時間もない」「地域や保護者、専門家の支援が必要」など、長時間勤務や過重労働の軽減に向けた意見や報告が相次いだ。

尾木さんは冒頭、東京・銀座の公立小学校が一式8万円超の高級ブランド制服の採用を決めたことに触れ、校長の独断専行を厳しく批判。
管理職のなり手不足で質が担保できてないことが背景にあるとし、「忙し過ぎるため誰も試験を受けようとしない。ブラック部活動という言葉があったが、今は学校全体がブラック学校になっている」と危機感を示した。

全国学力テストの弊害については、福井県を引き合いに警鐘を鳴らした。

同県の男子中学生が担任や副担任から厳しい叱責(しっせき)を受けて自殺した問題の一因として、学力偏重などで教員が多忙となり「子どもに適切に対応する精神的なゆとりを失っている状況があった」との意見書が県議会で採択されたことを紹介。
「日本の教員の余裕のなさは尋常ではない。教員は余裕ができてこそ、子どもの表情を読み取ることができる」と強調した。

シンポジウムでは、神里竜司沖教組書記長が、学力テスト対策や部活動で教員が授業の準備もできないほど多忙になっている現状を報告。
スクールカウンセラーの国生まゆみさんは「一人で抱え込まず、同僚やスクールカウンセラーの力も借りて。適切なタイミングで休むことが大切」と訴えた。
西本裕輝琉球大グローバル教育支援機構准教授、仲西春雅県高校PTA連合会会長も登壇した。

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