17年の失業率、23年ぶり3%下回る 雇用改善

 雇用改善の流れが一段と強まってきた。総務省が30日発表した2017年の完全失業率は2.8%と、1994年以来23年ぶりに3%を割り込んだ。
3%割れは、働く意思があれば職に就ける完全雇用の状態を示す。有効求人倍率も1.50倍と44年ぶりの高さだ。
ただ消費回復の足取りはなお鈍く、春季労使交渉で賃上げを加速できるかがカギになる。

 17年の完全失業率は、16年の3.1%から0.3ポイント改善し、93年の2.5%以来の低さ。
バブル崩壊後の長期停滞で02年に5.4%まで上昇、リーマン・ショック後の09〜10年も5%台だった。
その後の息の長い景気回復で就業者数が増加し17年は6530万人と、前年より65万人増えた。

 今まで働いていなかった女性などが職に就き、5年連続で増えた。女性の15〜64歳の就業率は67.4%で比較可能な1968年以降で最高だ。

 結果、企業の人材確保は難しさを増す。厚生労働省が発表した2017年の有効求人倍率は1.50倍と、前年より0.14ポイント上昇した。

 求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は15.2%で、1963年に統計を取り始めてから最低だ。
ハローワークを通さないインターネットでの求職を含まないが「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。

 企業は将来の人手不足を見越し、正社員の採用に力を入れる。17年は6月に正社員の有効求人倍率が1.01倍と04年の統計開始以来はじめて1倍を超えた。足元の17年12月は1.07倍となり、過去最高となった。

 17年の正社員数は3432万人で前年比56万人増加した。一方で非正規社員は2036万人で13万人増えた。伸び幅では正社員が非正規社員を3年連続で上回った。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26297450Q8A130C1MM0000/