中国・上海の研究チームが、同じ遺伝子をもつカニクイザルのクローン2匹を誕生させたとして、
24日の米科学誌セルに論文を発表した。1996年に生まれたクローン羊「ドリー」と同じ
技術を使って、霊長類では初のクローン作成に成功したとしている。

クローンのサルはそれぞれ「中華」を意味する形容詞にちなみ、「フアフア」「ゾンゾン」と命名された。

霊長類初のクローンは、1999年にアカゲザルの「テトラ」が誕生しているが、使われたのは今回とは
違う技術だった。

フアフアとゾンゾンの場合、ドリーに使われた体細胞移植(SCNT)と呼ばれるクローン技術に改良を
加え、この数年で開発した現代的技術を使って誕生させた。未受精卵を再形成するこの手法では、遺伝子
情報の大部分を含む卵子の核を取り出し、それを別の細胞の核と入れ換えて胞胚を作成。これを代理母に
移植する。同じ細胞を使えば、同じ遺伝子をもつ個体をさらに増やすこともできる。

ドリーの場合、研究チームは同じ細胞を使ってさらに4匹のクローン羊を誕生させていた。

SCNT技術を使ったクローン作成は、これまでにカエルやネズミ、ウサギ、ブタ、ウシ、犬など
20種類あまりの動物で成功している。しかし論文を発表した研究者によれば、ヒト以外の霊長類の
クローン作成は、これまで何度も試みられてきたものの、いずれも失敗に終わっていたという。

そこで同チームは新技術を使ってSCNTの過程に手を加え、3年がかりで新しい手順を完成させた。
この過程で、胎児の組織から取り出した細胞を使った方が、成体の細胞を使った場合よりも、クローン
作成がうまくいくことが分かった。

この手法で79個の受精卵を作成して21匹の代理母に移植した結果、6匹が妊娠して、2017年に
2匹が誕生した。この受精卵から、さらに数匹が間もなく誕生する見通しだという。

霊長類のクローン誕生は、倫理的な問題も生じさせる。今回の手法は、理論的にはヒトにも応用できる。
論文を発表した研究チームは、ヒトへの応用を試みるつもりはないとしながらも、世界でクローン規制の
法律や制度に関する論議に火が付くだろうと予想している。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35113683-2.html