ところで、15年9月の財政制度等審議会に、財務省が興味深い資料を提出している。
「我が国財政の変遷」をたどる中で、先にも触れた、現在と同じGDP比約200%あった
終戦直前の債務残高が、主にハイパーインフレーションによって「克服」されたと分析しているのだ。

それによると、卸売物価上昇率が1946年度432.9%、47年度195.9%、48年度165.6%と暴騰し続けると、
債務残高対GDP比は46年度56%、47年度28%、48年度20%と急減した。
預金封鎖などもあったため、国民の窮状は大変なものだったが、
国家財政の観点ではわずか3年で問題がないレベルに下がったのである。

ハイパーインフレーションが起きると財政危機が一気に解決することを資料は教えてくれるが、
問題は資料を出した財務省の意図である。単なる分析なのか、
「こうなっては、いけない」とする警告なのか、それとも……。

(完)