内田樹
https://gqjapan.jp/culture/column/20150126/the-professor-speaks-3
例えば、経済成長期にブラジルからの移民労働者を受け入れた地方自治体では学
校教育の現場がさまざまな負担を抱え込んでいる。移民の子どもたちは日本の公
立学校に来るけれども、家庭内言語はポルトガル語ですから、日本語があまりで
きない。子どもに通訳をつけたり、日本語の補習をしないとふだんの授業が成り
立たない。そのための教育コストを移民賛成派の方々は負担する気があるのか。
ないでしょう。移民労働者がもたらす収益は自社のものだが、彼らを社会的に定
着させるためのコストは税金から出せばいいと思っている。