「大きな流行の波は一巡して、ブーツの売り上げは下がり続けていますよ」。こう語るのはある靴専門店の幹部だ。

真冬の女性ファッションの定番だったブーツが、”過去のもの”となりつつある。通勤用やフォーマルな行事向けに一定の買い替え需要が見込める
紳士靴やパンプスに比べ、ブーツの売れ行きは流行に左右されやすい。

店頭のブーツは減っている

1990年代後半から2000年代にかけては、20〜30代の女性を中心にロングブーツが絶大な人気を誇り、ミニスカートやショートパンツと合わせて
履くニーハイブーツもヒット。2010年ごろになると「UGG(アグ)」を筆頭とするムートンブーツが幅広い世代の支持を受けた。

だが、数年が経つとそれらのブームも次第に落ち着いていった。その後もショートブーツなどの流行商品は出てきたが、かつての勢いを取り戻す
には至っていない。

ASBee(アスビー)などの靴販売店を展開するジーフットの営業商品企画本部に所属する渡辺雅則氏は「今はさまざまなスタイルのブーツが
出ているが、かつてのような『ブームはこれ』という商品がない。ロングブーツのアイテム数を絞るなど、店頭に並べるブーツの比率は減らしている」
と話す。

ブーツが売れない理由の1つが、5年ほど前から続くスニーカーブームだ。ファッションのカジュアル化に加え、ウォーキングや登山の人気も相まって、
若い女性や中高年世代の間でも、スニーカーで街を歩くスタイルが広く浸透してきた。こうした流れの中、スポーツ庁も健康増進のため
「スニーカー通勤」を推奨するプロジェクトを2018年春から始動する。

節約志向が続く消費環境下にありながら、スニーカーの品ぞろえに強みを持つABCマートは、2018年2月期も過去最高益を更新する見通しだ。
靴を中心とした通販サイトを運営するロコンドの田中裕輔社長は、「ニューバランスやナイキなどの高価格帯スニーカーの人気は根強く、
子ども用の4000〜5000円のスニーカーも好調だ」と述べる。

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http://toyokeizai.net/articles/-/202703