「差別はなくなる」と言われて育った金村さんは、実際は、こうした現実に直面しながら生きてきた。

高校時代。ネットを開けば、そこかしこに「在日」への罵詈雑言が溢れていた。自分が何か悪いことをしているかのような気持ちにも苛まれた。

大学時代には、小さい頃から慣れ親しんできた東上野のコリアンタウンで、ヘイト・デモが開かれるようになった。ただ、悲しかったという。

「デモを何度か、見に行ってみたことがあるんです。『死ね』という攻撃的な言葉がたくさん聞こえてきて、命の危険すら感じた。僕らがこの社会で生きていくことができるのか、不安になってしまった」

「いつかは止むだろうと思っていたけれども、そんなことはなかった。むしろ、ひどくなっていますよね。僕たちは『在日』という動物じゃない。この国で、普通に暮らしている存在なのに……」

金村さんは、在日コリアンという存在について知る人が少ないからこそ、差別やヘイトがはびこるのだと感じるようになった。

「そもそも在日の存在を知らない人も多い。一方で、知っている人は”理想”の在日像を持っている。反日めいたことを言う民族主義な人というイメージだったり、苦しんでいる可哀想な人というイメージだったり……」

「僕は、そういうところ以外で生きているんだよ、普通に暮らしているんだよって伝えたいんです。この社会の中で、僕みたいな存在が生き続けているということを知ってもらうだけで、変わることがあるかもしれないから」

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