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現実社会までに広がるヘイト

金村さんの言うように、日本のネット上では2000年代初頭ごろから、在日コリアンを批判したり、差別したりする書き込みが多く見られるようになった。

たとえば、一部の掲示板やまとめサイト、ニュースサイトのコメント欄では、「チョン」という蔑称が当たり前のように使われている。「殺せ、死ね、帰国しろ」といった攻撃的な言葉とともに、だ。

事件があれば「在日のせいだろう」と疑う人がいる。著名人らの「在日リスト」をまとめるサイトもある。「NHK受信料が無料になる」などのデマも一気に拡散してゆく。

さらに2010年代ごろからは、こうした言動がネット上のみならず「オフライン」の世界にまで及ぶようにもなった。コリアンタウンや朝鮮人学校などで排外主義的な抗議活動を展開する「ヘイトデモ」だ。

「在日特権を許さない市民の会」(在特会、2006年設立)をはじめとする団体が、ネット上にはびこる「殺せ」「ゴキブリ」などの言葉をそのまま発信するようになった。

デモには多くの批判が集まった。訴訟を起こされ、最高裁でヘイトスピーチが認定されたものもある。

2016年には「ヘイトスピーチ対策法」が成立するなど、反差別の機運は高まっているという背景もある。しかし、そうした団体の活動は続いており、ネット上に存在する「ヘイト」も収まる気配はない。

僕らは生きていくことができるのか