虚偽情報転載で人権侵害を拡大

 私の取材に回答を寄せたトレンドブログの管理人たちは、投稿による人権侵害の可能性を指摘すると
「ネット上にあった意見をまとめただけなので責任は問われない」と反論した。
だが、ネット上の名誉毀損(きそん)問題に詳しい唐沢貴洋弁護士は
「(事実無根の情報を)転載したことで新たな読者を獲得し、権利の侵害を拡大しており、法的責任を問われる」と指摘する。

 実際、ネット上の差別的な書き込みで名誉を傷つけられたとして在日朝鮮人の女性がサイト運営者に損害賠償を求めた訴訟で、
大阪地裁は先月、200万円の賠償を命じた。運営者は「他のサイトの投稿を引用し、わかりやすくまとめたもの」と主張していた。

 そもそも、容疑者や親族などのプライバシーを探り、糾弾しようとする一部ネット利用者の行動は、常軌を逸している。
「関東圏の40代」という別の管理人は「問題提起、真相究明、事件解決を望む正義感の強い人が多いからブログが乱立する」と話す。
正義感を「飯の種」にし、ほくそ笑む管理人がいることを私たちは肝に銘じるべきだろう。

 唐沢弁護士は「権利侵害が多数報告されたサイトについては、グーグルなどの検索サイトでもひっかかってこないようにするといった対策も必要だ」と話す。