「今すぐ船を止めろ」。夜のとばりが下りたイタリア南部シチリア島カターニア。
フランスの非政府組織(NGO)「SOS地中海」の大型船の行く手を、白人の若者5人が乗った小型船が遮った。
リビアなど北アフリカから地中海経由で欧州を目指す難民・移民の救助活動に対する、組織的妨害の始まりだった。
5月12日に撮影された現場の動画はインターネットでも拡散された。

 妨害したのは「ジェネレーション・アイデンティティー」(GI)。
現地の主要メディアは「極右団体」「白人至上主義組織」と批判する。
「欧州人のアイデンティティー(独自性)護持」が基本理念だ。
今年5〜8月には「欧州防衛作戦」を展開、難民・移民の欧州入域阻止を図った。

 若者が多いGIはまず、オンラインで寄付金を募る「クラウドファンディング」で23万ドル(約2600万円)を確保した。
この資金でチャーターした大型船に、移民の多くが話すアラビア語で「欧州は、あなたの家にならない」と書かれた横断幕を掲げ、
難民救助に向かうNGOの船を追跡。
相手の航跡データをネット上で公開し「リビア領海に不法侵入して密航船と連絡を取り、不法移民の人身売買を助けた」と批判した。
「SOS地中海」のローラ・ガレル広報担当は「人命救助だ」と反論する。





欧州覆う自国第一(その1) 若者ら、沖で移民上陸阻止
https://mainichi.jp/articles/20171205/ddm/001/030/158000c