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名古屋市中心部で高層マンションの建設が相次ぐ。大規模な金融緩和が不動産開発を下支えし、都心居住の需要が高まっている。

■職場は郊外でも

 今夏、名古屋市中区の伏見地区に完成した地上29階建ての「プラウドタワー名古屋栄」を購入した男性会社員(36)もその一人。
三重県四日市市の社宅から職場への通勤は車で10分だったが、新居を手にした8月以降は伏見から四日市に電車で1時間かけて通勤する。

 約5300万円で75平方メートル(3LDK)の部屋を買ったのには理由がある。車を持たなくても、様々な商業・文化施設にアクセスできる都心の生活を望んだからだ。
「名古屋中心部は再開発が進み、さらに値上がりする。今が買い時」。資産価値の維持に自信が持てたことも決め手になった。マンションは、スーパーや飲食店、銀行店舗を併設。名駅と栄に挟まれた好立地だ。
347戸は販売開始から半年、異例の早さで完売した。物件を手がけた野村不動産によると、購入者の大半は愛知県民。男性のような「郊外通勤」のケースも少なからずあるという。

 不動産経済研究所によると、市内では2013年から16年までに7棟の高層マンション(約1200戸)が完成し、17年以降に計5棟(約1200戸)が建つ。
野村も市中心部で6棟(627戸の予定)を計画。朝比奈孝誠次長は「高齢化が進み、車を運転しなくても買い物ができる都心の需要が強くなった」。

 名古屋都心部は、この10年で複合商業施設が相次いで完成した。15年以降にできた名駅前の主な高層ビル3件だけでも、床面積は約60万平方メートル増加。
名古屋市は名駅周辺の計約30ヘクタールで容積率などを緩和する方針で、商業集積がさらに加速しそうだ。
その一方、名古屋は東京や大阪と比べて、中心部のタワーマンションがまだ少ない。便利な都心に住む需要を取り込もうと、建設が相次いでいる。