政府は北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射に対抗するため、新たに東西日本に1基ずつ配備する迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の候補地を秋田市と山口県萩市の2カ所に絞り込み、地元と調整に入った。
2023年度に運用を始める方針。

政府関係者によると、政府は新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」搭載のイージス・アショアを2基配備すれば、日本列島全体をカバーできると想定している。

政府は運用主体となる陸上自衛隊の既存施設の中から、新屋(あらや)演習場(秋田市)、むつみ演習場(山口県萩市)の2カ所を有力候補地として選び、関係する地元国会議員に今月上旬、設置の意向を伝え、協力を要請した。
政府関係者によると、陸自が警備しやすい利点があるという。

政府は当初、地元の電波障害などの懸念を軽減するため、既存の航空自衛隊のレーダーサイト基地である加茂分屯基地(秋田県男鹿市)や佐渡分屯基地(新潟県佐渡市)などを配備場所とする可能性を探ったが、
「十分な敷地面積を確保する必要がある」(政府関係者)との判断から見送った。

イージス・アショアの導入の閣議決定は来月で、米ロッキード・マーチン社製のイージス・アショアの本体費用は1基あたり800億円、計1600億円が見込まれる。
政府は来年度当初予算には調査費を計上し、地質や電波障害の有無などを調べるほか、米国から専門家を招いて導入に向けた検討を進める方針だ。

イージス・アショアの運用に必要な要員数について防衛省は当初、1基あたり100〜200人、2基で計200〜400人を見込んでいた。
ところが複数の防衛省関係者によると、陸自は「施設の警備なども含めて1基あたり600人、2基で計1200人が必要」と要求しているという。
装備計画などをつくる内部部局が「人員の純増は厳しい」と陸自の要求に難色を示しているものの、本体の取得費や維持費に加え、人件費についても巨額のコストが膨らむ可能性が出てきている。(相原亮)

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