なぜ中国経済は崩壊の危機を迎えているのか【フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議】
2017年11月7日
https://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20171107_00420171107

■鮮明になりつつある中国の供給過剰感
中国はこれまで、膨大な労働力人口と安い人件費によって、世界中の製造業の製造拠点と
して経済発展をとげてきた。しかし、「世界の工場」といわれた中国国内の賃金水準は年々
上昇しており、製造業のコスト増が顕著になっている。そのうえ、環境問題や食品衛生、
知的財産の流出といったリスクがクローズアップされ、さらに不安定な人民元の存在もあっ
て、生産拠点としての中国に対する需要低下の懸念が高まっている。
さらには、習近平政権が掲げた「中国の夢」に端を発する対外強硬路線で生じた地政学上
のさまざまな軋轢、そして各国が進めるリスクヘッジであるチャイナプラス1政策が、そ
れに拍車をかけている面も否定できない。
加えて、預金や貸出を主として、中国からの資金流出は加速している。中国経済悪化を懸
念した金融機関のロールオーバーや新規貸出の減少、個人の資金流出が増加しているのだ。
また、2008年に政府が実施した4兆元の景気刺激策を引き金に、国内の供給過剰感が
鮮明となっており、今後どこかの時点で資本ストック調整が大規模に生じる見込みだ。
(続く)