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「署名できる段階じゃない。今日はサインしない」
カナダのトルドー首相は10日午後開かれた安倍晋三首相との首脳会談でこう述べ、首脳による合意宣言に難色を示した。
1時45分開始予定のTPP首脳会合のわずか30分前のことだ。
ただ、安倍首相が「何が問題か言ってほしい。改善しよう」と提案しても、具体的な説明はなかった。
もともと大筋合意は政治的懸案を決着した段階の呼称で、署名は条文作成や法的整合性の確認などが済んだ後の話。
交渉筋は「最終合意と勘違いしたのではないか」と指摘する。
ダナンでの大筋合意に暗雲が漂うなか、日本は開催地の面目が潰れ怒り心頭の共同議長国、ベトナムのアイン商工相と接触した。
TPPは12カ国での現協定でも閣僚間の合意を大筋合意としており、今回、首脳会合で宣言の場を設けたのは式典の色合いが強い。
「首脳合意は絶対必要な条件ではない。今は閣僚を逃さないことが大事だ」
日本はそう訴え、午後5時から閣僚会合を開催。茂木敏充経済再生担当相は合意内容を一言一句詰めていき、
前夜の大筋合意を再確認した。カナダは異論を挟まなかったという。
「9日夜の閣僚会合では真っ先に大筋合意に賛成した」(政府関係者)というカナダが突然態度を翻した背景には、
「日本が複雑な交渉を急ぎすぎた」などさまざまな推測が流れた。ただ、交渉筋はNAFTA再交渉が理由だと指摘する。
再交渉では米国がカナダやメキシコに自動車などの分野で厳しい要求を突きつけ、協議が停滞している。
米国はTPPの合意水準を要求の発射台と位置づけている上、カナダは安易に妥協する姿勢をみせれば付け込まれる恐れがある。
カナダは米国への牽制(けんせい)を込めて強気を示す必要があった。
日本は逆に、TPPを日米自由貿易協定(FTA)交渉入りを防ぐ防波堤にする考え。
米国の要望は既に協定に盛り込まれていると主張し、新規のFTA交渉ではなくTPP復帰を促す。
こうした対米交渉への温度差がカナダの唐突な反発につながった可能性がある。
http://www.sankei.com/economy/news/171111/ecn1711110030-n1.html