反物質の研究から「宇宙はやっぱり存在できないはず」となるデータが明らかに

宇宙に存在するあらゆる物質(マター)には、電気的に正反対の性質を持つ反物質(アンチマター)が
存在しています。この2つは衝突すると高いエネルギーを発して共に消え去る関係にあるのですが、
こうして宇宙が存在できているからには、反物質のほうが少なかった、あるいは少なくなるだけの
理由があったはず。そんな謎を突き止めるためにCERN(欧州原子核研究機構)は反物質の性質を調査したのですが、
「やはり宇宙に物質は存在しないはず」と言わざるを得ない結果が出ています。

現代の宇宙理論では、宇宙が最初に誕生した「ビッグバン」の際に、大量の物質と反物質が同じ数だけ
生みだされたと考えられています。その直後、物質と反物質は互いに打ち消し合うことで消滅していったのですが、
結果的にこの宇宙には「物質」が残り、私たちの体や地球、そして太陽系・宇宙そのものが存在していると
考えられています。最初に物質と反物質との数にごくわずかな差があったおかげで、今こうして我々人類が
「なぜ反物質のほうが少なかったのか?」と考えることができるというわけです。

この違いがいったい何なのか、これまでにも質量の違いや電荷の違いなどいろいろな研究が重ねられてきましたが、
CERNはドイツのヨハネス・グーテンベルク大学マインツが開発した方法を用いて、物質と反物質の間にある磁性の
違いを測定しました。ここで用いられたのは、磁場の力を利用して荷電粒子を1カ所に閉じ込めるペニングトラップと
呼ばれる方法で、従来の装置よりも測定値が9ケタ多い精度での測定が可能なもの。実際にこれまで存在していた
最も精度の高い装置の、350倍もの精度で磁性を測定できるものとなっていました。

しかしその結果判明したのが、なんと「違いなし」という結果だったとのこと。つまり、現在のところ人類が成し得る
最も正確な測定方法では、物質と反物質の間には、少なくとも磁性の側面で違いは見つけられなかったということです。CERNの研究員であるクリスチャン・スモーラ氏は「我々の研究では、物質と反物質は完全な対称性を持つことが観測されており、これでは『宇宙が存在するはずがない』ということになりまhttps://gigazine.net/news/20171030-cern-antimatter-research/