データは語る アベノミクスを斬る

 安倍晋三首相はテレビの党首討論で、労働者の実質賃金が低下しているとの指摘に対して「新たに仕事を始めた人がたくさんいる。
新たに仕事についた人は給料が安いため」と言い訳しています。
しかし実質賃金の低下は30代後半〜40代の「働き盛り」での低下が最大要因です。

 総務省「労働力調査詳細集計」によると、2012年〜16年の間に増えた雇用者は230万人です。これを年齢別にみると半数以上に当たる140万人が65歳以上の高齢者です。
新入社員世代(24歳以下)での増加分は36万人です。そのうち30万人は「在学中」で、多くは学生アルバイトと考えられます。
こうしてみると、雇用が全体で230万人増えたうち、学生アルバイトを除く「24歳以下」は6万人しか増えていません。
安倍首相のいうように「新入社員が増えたことで実質賃金が下がる」というほどの影響があるとは考えられません。

 一方、国税庁「民間給与実態統計調査」から12年から16年における年齢別実質給与年収の増減を推計すると、現役世代で大きく減少したのは40〜44歳の年額17万7000円、つづいて35〜39歳の10万7000円、45〜49歳の7万2000円でした。
若年層では一定の正規雇用化が進んだこともあって実質賃金は上がっているのです。

 同時に給与所得者全体に占める人数は30代後半が11・6%、40代は26・4%と大きな位置を占めます。30代、40代の賃金の伸び悩みが安倍政権下での実質賃金の低下に最も大きな影響を与えたことは間違いありません。

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