毎日新聞2017年10月12日 20時07分
https://mainichi.jp/articles/20171013/k00/00m/040/053000c

 安倍晋三首相が11日夜のテレビ朝日「報道ステーション」の党首討論で、小学校建設にからみ国の補助金をだまし取ったとして詐欺罪などで起訴された森友学園前理事長、籠池泰典被告(64)について「詐欺を働く人物。
こういう人だから(妻が)だまされてしまった」と述べた。首相のこの発言に法曹関係者から「司法の独立を侵す問題発言だ」と批判が出ている。

 討論ではコメンテーターのジャーナリスト、後藤謙次氏が、国有地売却を巡る籠池被告と財務省の交渉経過を検証する考えがないのか質問。
安倍首相は自身や妻の関与を否定した上で「こういう詐欺を働く人物のつくった学校でですね、妻が名誉校長を引き受けたことはやっぱり問題だった。
やはりこういう人だからだまされてしまった」と述べ、建設予定だった小学校の名誉校長を一時務めた妻昭恵氏をかばった。

 首相は、個別の刑事事件で検事総長に指揮権を発動できる法相に対し、任免権を持つ立場だ。

 元検事の郷原信郎(ごうはら・のぶお)弁護士は毎日新聞の取材に「刑事事件では推定無罪の大原則がある」と指摘。「籠池氏は起訴されたが黙秘しているとされ、公判も始まっておらず、弁明の機会がない。
行政の最高責任者が起訴内容をあたかも確定事実のように発言するなど司法の独立の観点からあってはならない」と話す。
【岸達也】