東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定されてから2年余り。東芝は内部管理体制の審査をクリアし、上場維持に向けて一歩前進した。東証は、東芝の内部管理体制に
相応の改善があったとするが、不正会計問題にとどまらず、米原発事業の巨額損失や度重なる決算発表の遅れで、株主や投資家の信頼を損ねた。東証は、東芝の取り組みを
評価して内部管理体制に“お墨付き”を与えた形だが、「大企業に甘いのでは」との指摘も出そうだ。
特注銘柄の制度は2007年11月に導入され、東証と経営統合する前の旧大阪証券取引所が指定した分を含めると、これまでに30銘柄が対象になった。内部管理体制が
改善しなかったとの理由で上場廃止となったのは4銘柄あるが、いずれも東証2部や新興市場に上場していた企業で、東芝のような大企業の例はない。
上場廃止となれば、東芝株は市場で売買できなくなり、株価の急落は避けられない。東芝には今年3月末時点で36万人超の株主がおり、証券業界からは「上場廃止は
究極的な事態」との声も出るなど、株主や投資家への影響を考えれば上場廃止に踏み切るのは容易でない側面があった。
また、上場廃止となれば、東芝の資金調達手段は銀行借り入れしかなくなり、取引先企業や金融機関の動揺を招きかねないなど、東芝の行く末にも大きな影響を及ぼすのは避けられなくなる。
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