御嶽山の噴火犠牲者の遺族らが国や県に損害賠償を求めた訴訟は、気象庁が災害前、噴火警戒レベルを1「平常」(当時)のまま据え置いた判断の妥当性などが争点だ。
レベルの運用責任を行政がどこまで負うべきかを問う異例の展開となっている。

 訴状などによると、気象庁は噴火前の平成26年9月10日に52回、翌11日に85回の火山性地震を観測。
一方で12日以降の地震は落ち着き、火山性微動や地殻変動といった変化も直前までみられなかった。

 原告側は、気象庁がレベルを2「火口周辺規制」に引き上げる基準を複数設け、
その中に「火山性地震の増加(地震が1日50回以上)」があったとして「自ら基準で『予見可能性』を具体化していたのに、引き上げを怠ったのは違法」と主張。
県にも「山頂付近などの地震計の故障を放置した」と指摘する。

 口頭弁論で被告側は請求棄却を求めた。
国は、基準は「目安」で、他のデータも踏まえ総合的にレベルを判断する運用だったと正当性を強調。
県は、故障の放置ではなく復旧を検討していたと反論している。

 基準には「総合的に判断」との注釈があったが、国は噴火後これを削除し、いずれかの項目に該当すれば即座にレベルを上げる運用に変更した。

噴火前判断の妥当性争点 国と長野県に賠償請求
http://www.sankei.com/affairs/news/170921/afr1709210028-n1.html