京都市が整備する無料の公衆無線LAN「KYOTO Wi−Fi(ワイファイ)」を使って、
知人女性にわいせつな画像を送るなどしたとして、京都府警サイバー犯罪対策課などが
12日、ストーカー規制法違反の疑いで、市交通局に勤務する50代の職員の男を逮捕した。
自治体や宿泊施設、飲食店などが提供する無料Wi−Fiは、手軽で便利な半面、
安全上の問題が指摘されてきた。通信履歴(ログ)や利用者情報が保存されず、
犯罪に使われた際の追跡捜査に影響が出たケースもあり、専門家は
「利便性とともに、利用者の本人確認の精度を高める必要がある」としている。

総務省は、スマートフォンやタブレット端末の急速な普及に加え、
東京五輪・パラリンピックなどを見据え、Wi−Fi環境の拡大を進めている。
同省によると、自治体が観光や防災面などから整備したWi−Fiは
1万4880局(2016年10月時点)。国の補助対象となっているものは、
利用者の事前登録が義務づけられている。

一方、拡大しているホテルやカフェなど民間提供のWi−Fiは、
事前登録や通信記録の保存など法的義務はなく、提供者の裁量に委ねられている。

京都市は2012年8月からWi−Fiの整備を開始。
使いやすさを優先し、利用規約に同意するだけで誰でも24時間接続できる方式だったが、
府警から「犯行に使われた際の追跡捜査ができない」などと改善を求められていた。

現在、会員制交流サイト(SNS)のアカウントやメールアドレスなどによる
事前登録制を採用し、ログも保存しているという。
電波を出すアクセスポイント約2100カ所(7月末時点)の大半で、
連続接続時間を30分とするなど安全性も重視した対応を取っている。
今回は市の対策が奏功し、容疑者の特定に至ったという。

警察庁の調査では、13年に確認されたサイバー犯罪のうち、
ログが残されていないために追跡捜査できなかった事件が408件、
無防備な無線LANに不正接続され、容疑者特定が困難で
未検挙となっている事件は68件あるという。

(後略)
無料WiFi犯罪、捜査に影響も 本人確認の精度課題
【 2017年09月13日 17時00分 】
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170913000084