五十嵐仁
民進党の山尾不倫疑惑による離党騒動で安倍さんはニンマリしているにちがいない

 このような安倍首相への格好の援護となったのが、民進党を離党した山尾志桜里元政調会長の不倫疑惑です。
安倍首相を追撃するために、船長を変えて「いざ、追撃へ」と出港した途端に、座礁しかかってしまったのですから。
 「水に落ちた犬は打て」という魯迅の言葉があります。「水に落ちた犬」のようになった安倍首相からすれば、「打たれる」どころか「救いの手」を差し伸べられたようなものです。
 海の向こうでは北朝鮮の金正恩による無法行為が続き、永田町では野党第1党の民進党が自らこけようとしています。
「内政、外交ともに打つ手なしのお手上げ状態」に陥っていた安倍首相はニンマリして、一息ついているにちがいありません。

 しかし、その安倍首相の周辺でも、不穏な動きが目立ち始めています。首相秘書官の今井さんが反旗を翻したとか、国家安全保障局の谷内局長が辞意を漏らしたという噂などが報じられました。
 また、安倍首相ベッタリで首相の「お気に入り」とされていたNHKの岩田明子さんが、『文芸春秋』10月号の
「政界激変前夜〜NHK解説委員の直言〜失速への転機は2015年秋だった」という特集で「安倍総理『驕りの証明』」という記事を書いています。
 もともと沈みかかっていたのは、安倍首相の方だったのです。「水に落ちた犬」である安倍首相を、市民や他の野党とともに「打つ」のが野党第1党である民進党の役割ではありませんか。

 山尾離党が前原新体制にとって大きな打撃になることは否定できません。しかし、それを嘆いていても事態は好転せず、安倍首相を助けるだけです。
 判断の基準となるリトマス試験紙は安倍首相です。安倍さんを喜ばせるようなことをしてはなりません。
 安倍さんが「青くなる」ようなことをするべきです。今の安倍さんが一番嫌がることをしなければなりません。それは何でしょうか。

 民進党が早急に態勢を立て直し、市民と野党の共闘を前進させるためのリーダーシップを発揮して10月の衆院補選に向けての共闘を実現することです。
一日も早く、自民党に勝てる体制を確立しなければなりません。

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