◆白人至上主義者も反対派も、「どっちもどっち」
トランプ氏に対しては、大統領としての資格を改めて疑う声さえも出ているが、トランプ氏のコメントには理解できる部分もある。なぜなら、反対派も暴力に手を染めていたことに違いはないからだ。

そもそも、白人至上主義者のデモは、南北戦争における南軍の指導者だったリー将軍の像の撤去に反対するためのものだった。
私はデモを主導した人々のネオナチ的な主張にはとても賛同できない。しかし、デモの表向きの趣旨そのものは異常なものとは言い切れないし、当局の許可も受けていた。
デモという表現の自由の行使を、圧力をかけて潰そうとした反対派の行動にも、批判の目は向けられるべきではないだろうか。

◆トランプ大統領よりも信用されていないマスコミ
このように見ていくと、浮かび上がってくるのは、マスコミの偏った報道のあり方である。
CNNなどのメディアは、トランプ大統領の対応が不十分だとして批判しているが、コメンテーターからはあまりに口が悪くて見るにたえない極端な意見が続出している。

トランプ氏を「若年性認知症」と決めつけた番組司会者もいれば、「人でなし」と呼んだCNNのコメンテーターもいる。
さらには、「国内のテロリスト集団たちのチーフ・リクルーターであり親愛なるリーダー」「初めてのネオナチ大統領」と非難したジャーナリストもいる。

アメリカのマスコミがトランプ氏を精神分裂だと決めつけたり、精神分析を試みたりするのは、今に始まったことではない。
ワシントン・ポスト紙などには以前から、トランプ氏が精神障がいだとする意見や、同氏を障がい者扱いする記事が掲載されてきた。
今回のバージニア州での事件を機に、こうした一方的な中傷がいっそう加速した感がある。

いかに不人気であったとしても、民主的な制度で選ばれた大統領を、公共の電波で精神分裂扱いしていては、マスコミの側が逆に国民の信頼を失うのではないかと、他人事ながら心配になる。
実際に、7月にNPRなどが行った世論調査では、ニュースメディアを信用していると答えた人の割合が30%にとどまり、トランプ政権を信用していると答えたひとの割合(37%)を下回った。
マスコミはトランプ大統領の不人気をあざ笑うが、当の本人たちはもっと信用されていないのだ。

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