厚生労働省によると、日本では2011年ごろから増え始め、昨年の国内患者数は4500人に達した。
10年には620人だったので、6年間で7倍以上という大幅増である。

そして、拡大ペースの加速ぶりが憂慮される事態となっている。一昨年の患者数は2700人だったので
昨年はその1・7倍だ。1年間でほぼ2倍増である。

都道府県別の患者数は、東京が突出して多く、大阪、愛知、神奈川などがそれに続く。

患者の年齢層は、男性では20〜40代が多いのに対し、女性は20代が突出している。
女性の場合は、出産年齢層と重なっていることが深刻な問題だ。
妊娠中だと胎児も感染し、死産や奇形につながることがある。

日本産科婦人科学会の調査では11〜15年の間に、21人の先天梅毒の赤ちゃんが生まれ、
うち5人が死亡、4人に後遺症という実態が把握された。

感染の可能性がある性的体験をした場合には、医療機関で診断を受けるべきだ。

梅毒の初期症状は感染後、3週間と数カ月後に表れる。しかし、痛みがなかったり、アレルギー症状などと
似ていたりするので、無自覚のままパートナーへの感染の可能性が持続する。本格的な病変が皮膚や
脳などに出現するのは数年後だ。

梅毒は早期の抗菌薬内服で治療できるが、感染の予防を第一に心がけたい。免疫ができないので
何度でもかかる。把握されていない感染者も少なくないはずだ。流行は統計を上回る。
梅毒を過去の性病と侮ってはならない。

http://www.sankei.com/column/news/170828/clm1708280001-n2.html