韓国の文大統領の様々な指示の中でもユニークなのは「伽耶史を復元せよ」とする歴史学会への要請だ。
古代の伽耶諸国は、慶尚道から全羅道に及ぶ地域にあった。そこで伽耶史を見直せば両道の差別意識を
突き崩せる、というのが狙いだ。

 しかし、朝鮮半島に伽耶史に関する史料は皆無といえる。それでも「復元して見直せ」と言うのなら、
やがて出てくるものは“お家芸”ファンタジー創史でしかあるまい。

 韓国のインテリなら「史料はある。『駕洛国記』を知らないのか」と叫ぶだろう。だが、『駕洛国記』は、
原本はもちろん写本もない。あるのは野史『三国遺事』(1289)に収められた抄録だけだ。
 そこには、天から降りてきた金の卵から次々男児が生まれ、伽耶5カ国の王になったこと、
長男である金首露にはインドの阿踰ダ国から王女が嫁いできたという神話が載っている。
 日本の史学者にも、「天孫降臨の原型だ」と、はしゃぎ回った人がいた。

 ところが、半島に伝わる最古の正史『三国史記』(1145)は、金首露の子孫である新羅の英雄
金ユ信の墓誌に「少昊金天氏之後、故姓金」とあるとを記している。
 つまり「天孫降臨の原型」は、金ユ信の没後、何者かによるファンタジー神話なのだ。

 『三国史記』は、その下手人についても示唆している。金ユ信の玄孫が一族の伝記を書いたが
「頗多醸辞、故刪落之」と。つまり、捏造があまりにも多いので採用しなかった、と。

 一方『三国遺事』は『三国史記』が載せなかった史料は何でも載せる編纂方針だ。だから檀君神話まで
載っているが、『駕洛国記』は抄録しか載せなかった。とても史料批判に堪える内容ではない。

 だが、朝鮮日報の元東京特派員は、文大統領の指示に「世界史上、これほどのロマンスがあるだろうか。
16歳の王女がインドから3カ月間船に乗って朝鮮半島に渡ってきて国王と結婚した」(朝鮮日報2017年6月12日)
とはしゃいでいる。国際部長、論説委員まで歴任したインテリでも、このレベルなのだ。

続きはそーすで
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170817/soc1708170013-n1.html
文大統領“ファンタジー指令”の愚 歴史学会ヘ「伽耶史を復元せよ」