日本人に根強い「移民アレルギー」の正体


――日本が移民を受け入れないことについて、海外からはどのような反応がありますか。

毛受 「異様である」との反応もありますが、「このまま日本が没落しては困る」という反応が大きいです。移民国家であるオーストラリアの
大使館の方は、「我々はいつでも移民受け入れのノウハウを提供する。しっかり協力する用意がある」と言っていました。海外からは、「日本は国家が衰退する前に移民を受け入れるべき」との声が多いです。


――安倍晋三政権は、基本的には移民を受け入れない方針です。移民に対して、日本人のアレルギー反応が強いのはなぜでしょうか。人口動態を見れば、移民受け入れは必然のようにも思えますが。

毛受 まずは、人口減少について深刻に考えていないのでしょう。
東京大学や慶應義塾大学で移民問題について講義をした際、始める前は移民受け入れについて「賛成半分、反対半分」でした。

 しかし、日本が今置かれている状況や人口問題について講義した後、再度聞いたところ全員が賛成に回りました。要は、移民問題について
十分な知識がない学生がほとんどだということです。不十分な知識しか持たずに、印象的に「反対」と言っている人が多いのです。

 もうひとつは、インターネット上の一部で「移民を受け入れると、人口の多い中国人などに町が乗っ取られる」といった考えが拡散したことも
あると思います。

 さらには「職が奪われる」という意見があります。しかし、すでに高度人材のホワイトカラーの受け入れを行っていますが、日本はそれほど人気がありません。ブルーカラーについても、これから人手が足りなくなるなかで職が奪われるということはないでしょう。
逆に、移民が会社や仕事をつくって日本人を雇用するというケースもあり得るのです。

 一般に移民は起業意欲が高く、アメリカではヤフー、グーグル、アマゾンなどは移民によって起業されており、日本でもソフトバンクグループの孫正義会長兼社長がその例です。また、
私は移民について「無制限に受け入れるべき」と主張しているわけではありません。しっかりとしたルールに則って段階的に親日国から移民受け入れを行うべきだと考えています。

http://biz-journal.jp/2017/08/post_20250_3.html