ある坊さんの話を思い出した

ある家の娘が私生児を出産した
誰の子だと親から詰め寄られ、窮した彼女は地元で高名なある坊さんの名を上げた
真偽を確かめんと両親がその坊さんに尋ねると、そうか、と肯定も否定もせずその赤子を預かった

その坊さんの名は地に堕ちた
しかし坊さんはその子を養うために方々の家々を回り授乳をば賜った
そんな生活を続けていくうちに、その赤子の母親が真実を両親に打ち明けた

文句も言わず世間の評判もかまわず赤子を育てる坊さんの姿を見聞きして己が愚かさを知ったのか?
我が子への愛しさが募ったのだろうか?
母親にどのような心境の変化があったのかは神のみぞ知るところだろう