緊迫する北朝鮮情勢。本当にミサイルが落ちてくれば被害は免れない。
けがをしたり家屋が壊れた場合、誰が損害を補償してくれるのだろうか。

まず思い浮かぶのは、加害者の北朝鮮を訴えて損害を賠償させること。しかし、北朝鮮への損害賠償請求を
日本の裁判所に申し立てても、門前払いをくらう。星野宏明弁護士は次のように解説する。

「国家も権利・義務の帰属主体となるので、個人が国家を訴えることは可能です。ただ、それは自国政府に対する話。
外国政府にまで裁判権が及ぶと主権侵害のおそれがあるため、国際慣習法上、外国政府を自国内で提訴することは
原則的にできません。訴えても審理されずに却下です」

北朝鮮が賠償してくれないなら、日本政府から賠償してもらうことはできないのか。

「ミサイル被害を防げるはずだったのに何もしなかったという不作為があれば、日本政府の賠償責任が認められる
かもしれません。しかし、日本政府は防衛力を強化したり、避難方法の周知に努めています。不作為が認められる
可能性は低い」

法的な救済がないなら火災保険などで自衛することも考えたいが、これも望み薄だ。

「火災保険には、外部からの飛来物による損害を補償してくれるものもあります。しかし、飛来物にミサイルは
想定されていないし、いま販売されている損害保険は約款で戦争や騒乱による損害は免責されるものばかりです」

頼みの綱は、政府による被害者救済だ。東日本大震災でも、国や自治体から被災者に災害弔慰金や生活再建支援金
が支給された。ミサイル被害に関しても、国民のコンセンサスが得られれば政府が事後的な立法措置で損害を補償
する可能性がある。

しかしもちろん、人命が失われれば、後でいくらお金を積まれても取り返しがつかない。万が一にもミサイルが落ちて
こないように、政府には全力で対応してもらいたい。

http://news.livedoor.com/article/detail/13347783/