「これは、蓮舫さんひとりの問題ではありません。出自の問題というのは、極めてプライベートなものです。歴史的にも、
部落などへの差別に利用されてきた経緯がある。出自に関する偏見や差別を助長することにつながる恐れがあります」
そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、ナショナリズムや多文化主義にくわしい関東学院大非常勤講師の明戸隆浩さん(社会学)だ。

「まず、もし実際に戸籍を公表するということになれば、それはきわめて問題です。単なる住民登録はどこの国にもあることですが、戸籍は日本独自の制度。
血統、つまり親子関係を管理しているところがポイントになる」

「公人として影響力のある人たちがそういった資料を公表することは、悪しき前例になる可能性が大きいのです。政治家だけではなく、
一般の人たちに日本人かどうかという疑いがかかった場合、出自を探ることが正当化されてしまうことになる」

明戸さんと同様、この「戸籍公表」に関しては大きな批判があがっていた。民進党内からも異論が噴出していた。

今回のような形で戸籍の公開が問題になること自体、「出自によって差別されてきた人たち」にとって、悪い影響を及ぼす可能性がある、と明戸さんは説明する。

「蓮舫さんを批判している側の人たちは、こうしたパターンを習得するのがうまい。ネットなどでは今後ますます同じような攻撃が行われることになるでしょう。やられた側が資料の公開を拒めば、
『やましいことがあるのでは』とさらに因縁をつけられる」

出自によって差別を受けてきた部落の人たちや、帰化した外国籍の人たちなどはそもそも、「自分の生まれを詮索されること」に大きな不安を抱えている。

明戸さんは、そういう人たちが「直接的に影響を受けてしまう」と懸念する。

「採用や就学で同じような対応を求められることも増えるだろうし、ネット上で『お前日本人か』『証明しろよ』という書き込みが横行すれば、ネットをやめざるをえない人も出てくるでしょう」
蓮舫代表の「二重国籍」問題。戸籍情報の公開で懸念される「差別の助長」とは

朝の通勤時間帯にチラシを配る蓮舫代表(6月)
蓮舫代表が受けている「差別」とは

対応に対する批判だけではない。明戸さんはそもそも「二重国籍問題」が巻き起こった根本的な部分に、「差別」があったと指摘する。

「蓮舫代表は、政治家としての資質や判断、実績とは関係ないところで因縁をつけられている。多くの政治家ならされないような追及を、その出自ゆえにされているんです」

「出自に対する攻撃は、自分の力ではコントロールできないものへの攻撃です。蓮舫代表が受けていることは、こうした点でまさに『差別』なのです」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170714-00010006-bfj-soci&;p=3