<金口木舌>ヒアリだけではない「外来種」

強い毒を持つヒアリが国内で発見された影響で、殺虫剤メーカーの株価が上昇しているという。
外来種侵入の危機が、投機のチャンスとは皮肉ではある

▼国境を越えた物流の発達で、郵送物にさまざまな外来種が紛れ込んでしまうのは、もはや避け難い。
しかし、人間の生命に関わるならば、万全な水際対策を講じる必要がある

▼外来種といえば、県内には農作物に寄生する病害虫、ウリミバエやミカンコミバエがいた。
防除事業を展開しウリミバエが21年、ミカンコミバエは9年かけて根絶に成功した。
根絶によって植物検疫法の移動制限が解除され、マンゴーやゴーヤーは県外に出荷できるようになった

▼国境を越えてやってくるのは、昆虫類だけではない。
昨年5月、国内最大の覚醒剤約600キロの輸入未遂事件が県内であった。
クルーズ船を利用し、台湾から覚醒剤を密輸した別の事件では、持ち込んだ6人のうち、3人は逮捕されず帰国した。
事件の全容は明らかになっていない

▼外来種ならぬ“外来機”も県内では常態化している。
嘉手納基地に5、6月、米本国からF16戦闘機12機、在韓米軍基地からU2偵察機4機が飛来し、住民は騒音にさらされた

▼覚醒剤については「税関職員の増員」、外来機については「政治交渉」という“水際対策”が不可欠である。
われわれの生活を脅かすのは、ヒアリだけではない。

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-531153.html