王者カルビーが崩せないカラムーチョの牙城
http://toyokeizai.net/articles/-/176973
北海道産ジャガイモの不作を受けて、カルビーが4月中旬以降に販売を休止していた
「ピザポテト」が、6月19日(月)から北日本・東日本エリアで再びスーパーやコンビニなどの
店頭に並び始めた。

「早く販売を再開してほしい」「販売再開を待っています」。昨年夏の台風による被害を受けて
4月10日に一部商品の休売を発表したカルビーのお客様相談室には、この2カ月間で1000件を
超える問い合わせがあったという。中でも販売再開の要望が強かったのがピザポテトだ。

一方、4月10日に発表されたカルビーのニュースリリースには、当時あまり大きくは報じられ
なかったが、ポテチファンには見逃せない事実が記されていた。それはジャガイモ不足で
販売を一時やめた「休売対象」15商品と一緒に載っていた「終売対象」18商品だ。

「終売」とは要は撤退だ。ジャガイモ不足には本質的に関係がなく、採算面であまり
芳しくない商品ということだろう。

特に注目したいのはカラビーの終売だ。カラビーは全国的に売られていた辛口スナック
菓子だが、販売が打ち切られた格好となる。これはカルビーにとって、事実上の「敗北宣言」
とも受け取れる。何に対してか。湖池屋(コイケヤ)の看板商品で辛口のスナック菓子
「カラムーチョ」に対してである。

カルビーはスナック菓子メーカーのトップ企業として君臨しているが、局地戦として辛口スナック
菓子では湖池屋に敗北を喫していたのだ。かつてカルビーは2010年末から「うま辛ポテト
ヒ〜ハー!!」という同ジャンルのポテチを投入していたことがある。
これもいつの間にか店頭から見られなくなっていた。

カルビーにとってカラムーチョは何度も挑みながら崩せない牙城だということが、カラビーの
撤退で実は示されたのである。長年培われたブランド、信頼、「定番商品を買う」という消費者の
習慣を正面から切り崩すのはなかなか難しい。

こうやって見ていくと、カルビーが休売対象の中からピザポテトの復活を急いだ理由がわかる。
むしろやや幅を広げて、ポテチの濃い味カテゴリーとして、カラムーチョに対抗できるカルビーの
商品がピザポテトといえる。