地方の公務員獣医師は不足しているが、獣医学部新設が解決策ではない
2017年06月11日NEW !
テーマ:政策のこと

今日のNHK日曜討論でも、獣医師不足が議論になりました。よく獣医師が足りないと言われますが、獣医師の数については、「分野別、地域的な『偏在』はあるものの、
総数としては足りている。」これが、農水省、文科省をはじめとした政府の公式見解です。

しかし、牛や豚といった産業動物の獣医、とりわけ公務員獣医師の数は足りず、多くの都道府県で定員割れを起こしていることも事実です。

ただ、獣医学部を新設して定員を増やすことが、産業動物獣医師、なかんずく公務員獣医師が不足している問題の解決策になるのか?この点については、あまり客観的な分析が行われていません。

地方に獣医学部を作れば、その地域の公務員獣医師も増えるでしょう、ぐらいの感覚です。

しかし、具体的な数字を調べてみると、その感覚が正しくないことが分かります。

例えば、青森県にある私立の獣医大学である北里大学の1学年の定員は120名。1.1倍まで認められる枠を使って実際には132名の学生が学んでいますが、このうち青森県内に就職した学生の数はわずか3名です。
そのうち公務員獣医師になった人は1名のみです。事実、現在も青森県では公務員獣医師の欠員状態が続いています。

つまり、獣医大学の所在地と、その地域における公務員獣医師の充足率との間には、直接の関係はないと考える方が自然です。
ですから、仮に、加計学園が四国に獣医学部を新設しても、それだけをもって、四国の公務員獣医師の不足問題が解決するわけではないと思います。

しかも、加計学園の問題に関して言えば、国家戦略特区で獣医学部の新設を認める条件は、既存の獣医学部では提供できないような、
創薬やライフサイエンスといった最先端の教育を提供できるかどうかであって、公務員獣医師の不足を補えるかどうかは問われていません。

https://ameblo.jp/tamakiyuichiro/entry-12282823657.html

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