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前川・前事務次官の記者会見は、官僚目線で見れば「大失敗」だった
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51868

これでいいのか「報道特集」!加計問題であまりに偏っていたその「中身」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51920
それでは、番組のどこが「間違っていた」のかを検証しよう。番組では、加計学園の件について、2016年9月16日の1ヶ月半後、「突然」決定が下されたといい、
前川氏も番組のインタビューで「文科省と内閣府の間の手続きがきちんとできていない」と言っていた。

しかし、番組では重要な議事録についての言及がごっそり落ちていた。それは、2015年6月8日の特区諮問会議の下の国家戦略特区ワーキンググループの議事録だ。
そこでは国際水準の獣医学教育特区(愛媛県・今治市)について取り上げられている。
これは、同年6月29日に特区についての閣議決定が行われる前のものであるが、閣議決定をどのように行うかについて、内閣府と文科省・農水省の間で調整が行われたものだ。

そこでは、文科省が挙証責任を間違えていることが、特区の有識者委員から指摘されている。
要するに、文科省は獣医の数についての需要見通しを作るのは、内閣府であると思い込んでいたのだ。
これは、先週の本コラムに書いたように、役人の間では考えられない話だ。というのも、大学の設置に関する許認可官庁は、いうまでもなく文科省だからだ。

そしてその1年3ヶ月後。番組で紹介されていた議事録の中でも、文科省から「具体的な需要は明確となっておりません」と、
挙証責任を有すべき省庁としてあるまじき、他人事と考えているような発言が出てくる。しかも、需要見通しをデータで出せていないのだ。

これでは、文科省と内閣府で議論にならない。文科省が反撃もできないわけだから、内閣府の勝ちとなり、獣医学部の新設が進められるのである。