部下にひどい扱いをしても解雇されない有害上司がいるのはなぜかと思ったことはないだろうか。新たな調査によると、それは、ごく短期的にその上司が
有能に見えている可能性があるからだ。

 コンサルティング会社のライフ・ミーツ・ワークが米国の大卒従業員1000人を調査したところによると、非常に有害な上司(他者をいじめたり、中傷したりする
行為を少なからずする管理職)の下で働く従業員は、そうでない従業員よりも職務に入れ込む傾向にあることが分かった。また、そのように職務に忠実な
従業員がその職にとどまった期間は、そうでない従業員より平均で2年長かった。

 だが、ライフ・ミーツ・ワークの調査担当責任者で心理学者のケネス・マトス氏は、有害上司がいることの利点は、あったとしても、一過性だと指摘する。
有害上司はいかに有能なように見えるとしても、最終的には会社にとって不利になるからだ。そんな上司の下では、部下の離職が増える、バーンアウトする
(燃え尽きる)部下が出る、部下からの訴訟リスクが増大するといったことにつながるという。2006年の調査によると、有害上司による職務管理によって
企業が負担を強いられているコストは、推定で年間238億ドル(約2兆6400億円)に上る。

 ギャラップ社が15年に米国の成人7200人を対象に実施した調査によると、過去のいずれかの時期に有害上司の下で働いていたことがあると回答した人は
少なくない。また上司が悪いという理由で少なくとも1回の離職経験があると答えた人は半数に上った。しかし、ライフ・ミーツ・ワークの調査によると、
虐待的ないし無能な上司の下で働くケースが実際にはもっと多いことがうかがえる。回答者の56%は、現在の上司が有害だと答えた。

 ライフ・ミーツ・ワークが従業員を対象に尋ねたのは、上司が公然と部下をけなしたり、怒りを爆発させたり、他者の功績やアイデアを自分の手柄にしたり
といった行為があったかどうかだ。これらの特徴がわずかながら見受けられる上司は、「やや有害」に分類された。マトス氏によると、やや有害な上司が
こうした行動に出るのは、管理職として上司自身が仕事に圧倒されているからで、綿密に練られた戦略があるからではないと推測されるという。

以下ソース
http://jp.wsj.com/articles/SB12759854608153193634404583178552537878868