<社説>共謀罪衆院可決 その先にあるのは独裁 立憲主義の破壊許さず

衆院は、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法案を本会議で強行採決し、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決した。
法案は内心の自由を侵害し、憲法が保障する思想の自由に抵触する。捜査機関が団体や市民生活を常に監視し、取り締まりの対象とするため表現の自由、集会・結社の自由に重大な影響を与える。
治安維持法下の戦前戦中のような監視社会を招いてはならない。十分な論議もなく憲法に反する法案を強行採決したことに強く抗議する。立憲主義・民主主義の破壊は許されない。廃案しかない。

■ 監視社会招く

政府は法律の適用対象を「組織的犯罪集団」とし、具体的な「合意」と、現場の下見や資金調達などの「準備行為」を処罰する。
安倍晋三首相は当初、一般市民は対象外として、過去に3度廃案になった共謀罪法案とは別物と強調した。しかし後に「犯罪集団に一変した段階で一般人であるわけがない」と答弁を変えている。
対象は際限なく広がり、労働組合など正当な目的の団体であっても、捜査機関が「組織的犯罪集団」として認定すれば処罰対象になる可能性がある。
治安維持法の下で、言論や思想が弾圧された反省を踏まえ、戦後日本の刑法は、犯罪が実行されて結果が出た段階の「既遂」を罰する原則がある。
しかし共謀罪は、実行行為がなくても2人以上が話し合って合意することが罪になる。基準が曖昧である。
「内心」という人の心の中を推し量って共謀の意図があるかどうかを捜査機関の判断に任せてしまえば、恣意(しい)的な運用に歯止めがかからなくなる。

http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-501374.html
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