■正社員追い出しビジネス
「解雇しやすい社員づくり」への動きは、このほかにも相次いでいる。
第二次安倍政権下では国家戦略特区が導入されたが、ここでも特区内で解雇規制を緩和する案が提案された。
これが世論の批判で不調に終わると、雇用を守った企業に支給される雇用調整助成金を減らし、他の企業への移動を促す労働移動支援助成金を増やすという転換が始まる。

2013年3月の第4回産業競争力会議において、メンバーである大手人材ビジネス「パソナグループ」会長の竹中平蔵・慶應義塾大学教授(当時)は、
「雇用調整助成金を大幅に縮小して、労働移動に助成金を出すことは大変重要。
是非大規模にやって欲しい」とし、当時、1000対5だった雇用調整助成金と労働移動支援助成金の比率を「一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じている」と発言した。

翌2014年には、545億円対301億円と二つの助成金の額は肩を並べ、2015年には193億円対349億円と逆転した。
転職支援を手掛ける人材ビジネス業界への利益誘導ではないかとの批判が上がった。
その見方を裏付けるように、翌2016年2月22日、朝日新聞は、大手人材会社が王子ホールディングスの子会社に、
政府の助成金をもとにした「戦力入れ替え」を指南し、「転職支援」を請け負っていたことを明らかにしている。

これに先立つ2014年には、都内で開かれた労働問題の集会で、人材ビジネスの誘いに乗って大手電機メーカーの退職勧奨を受け入れた社員が、
転職先が決まらず、元の会社に低待遇の派遣社員としてあっせんされたという例も報告された。
正社員の追い出しビジネスが、政府の補助金で促進される事態が起きた、ということだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/13062422/