アミュプラザ鹿児島(鹿児島市)のゲームセンターにある写真シール機(プリクラ)は、男性客だけでの利用を制限している。盗撮や痴漢、ナンパを防ぐ目的として、運営会社は「女性客に安心して利用してもらうためで差別の意図はない」としているが、男性客からは「排除されているみたいで悲しい」との声が上がる。多様性が尊重される時代、性別による制限の在り方が問われている。

 9月下旬の平日、アミュプラザ6階のゲームセンター「タイトーステーション」の一角にあるプリクラコーナーはにぎわっていた。入り口付近には「男性のみでの入場をお断りしています」の注意書き。利用は女性同士や男女のカップルらに限られ、この日も女子高生らの姿しかなかった。

 別店舗で彼女と撮影していた高校1年男子は「プリクラは形に残るところがいい」。たまに男友達とも利用する。でも、“男禁止”のコーナーを見るたびに「男性は罪を犯すものと言われているみたい。男同士でも楽しみたいのに」と明かす。

 日本アミューズメント産業協会(東京)によると、男性客のみの利用を禁止する店舗は全国的にも多い。カーテンで区切られたブースで撮影するプリクラの特性上、盗撮や置引といった犯罪のほか、ナンパのような迷惑行為が多かったことがきっかけになった。

 アミュで運営するタイトー(同)は、10年以上前から男性のみの入場を制限する。広報室の佐々木いつ子さんは「これまで苦情はない」というものの課題を感じている。「トランスジェンダーなど『男性』の定義が難しい場面もある。時代に即した対応を検討しているが難しい問題だ」と慎重に言葉を選んだ。

 法律の観点からはどうなのか。「性別での利用制限自体に問題はない」と話すのは、鹿児島中央法律事務所(鹿児島市)の西選子弁護士。主要客層の若い女性の利用が増えるのであれば「企業としては仕方のない判断だろう」。女性専用の車両やジム、宿泊施設なども珍しくはない。ただ「本当に合理性があるのか。多様性に配慮しながら再検討してもいい時期にきている」と提言した。

 制限解除の動きもある。サープラ天文館あそびタウン(同)は、吉村朋子店長が着任した昨年7月から、誰でも利用できるように変えた。吉村店長は「単純に多くの人に楽しんでほしいという思い」と笑うが、プリクラ機は店舗中央に置き死角をなくした。プリクラコーナーの大半を3月、センテラス天文館へ移転した際も人目に付く場所へ設置して工夫を凝らす。

 安心感と平等性。両立が難しい場面はあるものの、時代に即した変化は必要だろう。女友達3人と来店した専門学校1年女子は「男性の目を気にしたことはなかった。いろいろな人がプリクラを楽しんでいい」。思い思いのポーズでフレームに収まった。

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