加山雄三「口に出して『幸せだなぁ』って言うことが大切」長年のモットーは“人生の三カン王”
5/1(水) 17:51 AERA dot.
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2024年4月11日に87歳になった加山雄三さん(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 「若大将シリーズ」などの映画で時代を代表する俳優となり、またミュージシャンとしても数々の曲が大ヒットした加山雄三さん。食事や健康、そして86歳(※インタビュー時)のいま感じる夫婦のきずなについて伺いました。発売中の「朝日脳活マガジン ハレやか 2024年4月号」(朝日新聞出版)より抜粋して紹介します。

■家族そろっての食事を大切にしていました

 2022年9月9日。この日、東京国際フォーラムで最後のホールコンサートを開催しました。63年という長きにわたりファンの方々に支えられ、こうして活動できたことは奇跡に近い。感謝の気持ちでいっぱいです。

 歌うこと、演じることで、多くの人が笑顔になって楽しんでくれる。それが僕自身の喜びでもあります。料理を作るのも同じで、家族や友人、海の仲間たちが僕の料理を喜んでくれるのがうれしくて、「もっと喜ばせてやろう」という気持ちでどんどん腕を上げていったんです。(※中略)


■カミさんには感謝してもしきれない

「加山雄三は苦労知らずで、順風満帆の人生だった」って思う人もいるかもしれません。でも実際は、大変なこともたくさんあったんです。

 30代のころ、僕が取締役になっていた茅ケ崎のリゾートホテルが倒産して、23億円もの借金を抱えてしまいました。10年でなんとか借金を返済することができましたが、カミさんと結婚したばかりの時期で、1個の卵を夫婦2人で分けあって、卵かけご飯を食べたこともありました。

 37歳のときは北海道のスキー場で圧雪車のキャタピラに巻き込まれて、あわやという大けが。

 ここ最近も自宅で筋トレ中に腰椎椎体骨折してしまったり、2020年には誤嚥がもとで小脳出血を発症して救急搬送。一命は取り留めたものの、治療に専念するため芸能活動を一時休止しました。しばらくは後遺症が残って、完全に復帰するまではリハビリの毎日。自然に出血が止まったので、手術せずに薬で治療でき、脳への影響も少なかったのは、不幸中の幸いです。

 いずれのときも、懸命に看病して、落ち込む僕を励まし、ときには叱咤激励して尻を叩いてくれたのがカミさん。彼女がいなかったらいまの僕はない。だから彼女には感謝してもしきれない。

 そして、つらい思いをして乗り越えられたからこそ、いまがある。心底そう思っているんです。

 長年モットーとしているのは人生の三カン王=B「関心、感動、感謝」です。つくづく思うのは、幸せを「幸せだ」と感じる心がなければ、幸福にはなれないということ。

 いま、生きていることに感謝し、大勢の人に支えられていることに感謝する気持ちを忘れないこと。そして関心、感動、感謝の気持ちをもって、幸せと感じたことは口に出して「幸せだなぁ」って言うことが大切なんだと思っています。

(構成・文/山下 隆)