Yukako Yajima |2024/04/16 18:15
Rolling Stone(※抜粋)
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/40875/3/1/1
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■風さんから「やりたい」と連絡をいただいて、「無理です」って一回断ったんです

―先日放送された「tiny desk concerts JAPAN」のことも聞かせてください。藤井風さんのコーラスをやることになったのは、どういう経緯だったんですか?

風さんがデビューする前から知り合いで、お互いのライブを観ていたりはしたんですよね。風さんから「やりたい」と連絡をいただいて、「無理です」って一回断ったんですよ。


●Fujii Kaze: Tiny Desk Concerts JAPAN
https://www.youtube.com/watch?v=rGyQHyDMZZI


―え!

コーラスをやらせていただくからには、風さんのいいところを最大限引き出したいと思った時に、自分がそれを果たせるのかどうかをすごく悩みました。コーラスってプロの方がやるイメージで。ツアー中だったこともあって、本当に時間もなくて、色々悩んだんですけど……一回断って。そこでマネージャーさんが「わかりました」とは言ってくれたけど、風さんチームに伝えずに止めていたみたいで。わざわざ名前を挙げてくださった気持ちにも応えたかったですし、朝になって気持ちが変わって、「頑張ります、お願いします」というふうにお返事をしました。(※中略)

―実際、本番はどうでした? 気負ってるというよりも、純粋に「音」を楽しんでるように見えてました。

引き受けた段階で、「自信を持ってやろう」と切り替わってはいましたね。風さんのピースフルな人間性もあって、1回限りのライブでミュージシャン同士が感じ合いながら楽しくできました。本番はただシンプルに愛おしい時間だったな、という感じでしたね。日本初の「tiny desk」に出させてもらったことも、一緒に歌わせてもらったことも、感謝しかないです。

―以前の取材で、「自分の声の魅力はいつも人が気づかせてくれる」とおっしゃっていたことが印象的で。今回の経験で、自分の声に関して何か気づくことはありました?

何だろう……やらせてもらって、(自分の声は)寄り添えるものだなとは思ったというか。やっぱり声も楽器で、鳴らし方が色々あって。コーラスとしての鳴らし方があるんだなとは思いました。自分の声の何を求めてくれていたのかはまだわからないし、そこに応えられていたかどうかもわからないんですが、自分のできる限りの「寄り添いボイス」をやらせてもらいました。

―さきほど「ピースフルな人間性」という言葉もありましたけど、にしなさんは風さんのどういったところに魅力を感じますか。

すべてを魅力に思いますね。人柄だってそうだし、詞も、声も、スキルもそう。逆に何が好きかを挙げるのが難しいくらい、本当に素晴らしい音楽と人間性だなっていつも思います。

―人はずっと「正解」を探して生きていくもので。正解を見つけたと思えば、それが不正解になったり、違う正解が輝いて見えたり。にしなさんはその揺れをずっと歌にしていると思っていて、風さんの音楽は「正解」や道標を示してくれるものだと思うんです。表現方法は違えど、人生や生命の捉え方みたいなものにおいて、シンパシーを感じるところがあるのかなと。

自分には書けないものを書かれているし、そこにとっても共感するし、憧れもあるし。素敵だなって思います……語彙力がなさすぎる(笑)。

―いえいえ(笑)。風さんの中で、一番好きな曲は?

全部好きだけど、今の気持ちとしては「優しさ」ですね。私の中では、すごく優しくて壮大だけど、おばあちゃんおじいちゃんに抱っこされてる赤ちゃんとか、子どもが見えるというか。でもそれは若さではなくて。何て言うんですかね?……深いピュアさみたいなものを感じて、素敵だなと思います。

―今言ってくれたことは、にしなさんの声そのものじゃないですか? イノセントさがあって、天使の絵みたいに子どもだけど「未熟」とは違うものがある。今言ってくれた風さんの世界観を彩れるのが、にしなさんの声だったのではと思いました。

嬉しいです、そんな(笑)。寄り添えていたら嬉しいな。本当に光栄だなって思いますね。


●にしな | It's a piece of cake【Official Video】
https://www.youtube.com/watch?v=ml1ObkguC4E