同作について、「一見、タイトルはふざけてる。
しかも、ラブコメだと思われているかもしれないけど、
とにかく自己肯定感の低い人に寄り添う作品なんです」とした。

 友達も恋人もいない地味な会社員の田中さんが、
実はセクシーなベリーダンサーという裏の顔を持つという設定。
田中さんの生き方に周囲が共感し、影響を与えていく様子も描かれ、
年の離れた派遣OLの朱里とは友情関係も生まれていく。
深澤氏は「すごく丁寧な漫画で、全然恋愛が重要なテーマではなくて、
女性も男性も田中さんがベリーダンスに出合ったことで巻き込まれていって、
どんどん自分を取り戻していくという、すごくいいお話なんです」と熱弁した。

 芦原さんは生前にしたためたブログ(後に削除)で、
「性被害未遂・アフターピル・男性の生きづらさ・小西と進吾の長い対話等、
私が漫画『セクシー田中さん』という作品の核として大切に描いたシーンは、大幅にカットされ、
まともに描かれておらず、その理由を伺っても、
納得のいくお返事はいただけない」などと、ドラマ化への苦悩をつづっていた。

 これについて、深澤氏は
「ラブコメの姿をしているけど、主人公たちがいろんなことに巻き込まれていて、
そのテーマを描いている。でもドラマはたぶん、めんどくさいとか、
役者に説明できないとか、スポンサーがめんどくさいとかあるのかもしれないけど、
面倒なテーマを避けていて」と推測。

「芦原さんとしては、そもそも王道の恋愛ドラマではないし、
そういう性とか愛に対するトラブルについて向き合っているものなのに、
ドラマ側が向き合っていないということで、不信感が生まれてきた」と問題を指摘した。