「そこはちょっと吉本をほめてあげたい」

かつて余裕しゃくしゃくにそう話していた男が特大ブーメランに見舞われている。

『ダウンタウン』松本人志の女性トラブルが止まらない。昨年暮れに「週刊文春」で初報が飛び出し、年が明けても二の矢、三の矢を放たれ、2月1日発売号ではついに二桁となる10人目の女性が“被害”を告白している。

松本は女性と性的行為などに強要はなかったとして、発行元の文藝春秋などを提訴。自身は裁判に集中するため芸能活動を休止した。

テレビ番組でもこの問題について様々な議論がなされているが、ひと際目を引くのが吉本の大先輩・西川のりおだ。

1月18日放送のABCラジオ『ますだおかだ増田のラジオハンター』にゲスト出演し、松本について

「ホントに自分に(問題が)なかったら休業することはないと思うんですよ。出たらええと思うんですよ。それで裁判に打ち込むなら芸に打ち込んだほうがええと僕は思うんです。やましくないなら裁判に打ち込む必要がないねんから」

と持論を展開。

「全くシロであればきっちり言えるはずなんですよ」

と述べ、松本に記者会見を迫った。

さらに1月30日の『生島ヒロシのおはよう定食・一直線』(TBSラジオ)では、松本を擁護する後輩芸人に対し

「ちょっと内側寄りのコメントはやめておいたほうがいい。『昔、お世話になった』『尊敬していた』っていうのは、その本人との問題。(文春報道とは)関係ないことですよね。争点、論点を間違ってるんですよね」

とピシャリ。活動休止する松本についても

「僕は違うと思いますね」

と異を唱えた上で

「疑惑がずっと何年かにわたって『こんなことがあった』『いや、なかったんだ』ってなるのは、俺らにとってはプラスにはならないと思うんです。どっちの方向に行ってもプラスにならない」

と断じた。ここまで踏み込めるのは、大御所芸人だからなのか……。

「松本さんは吉本内で絶大な影響力を誇ります。それだけに事務所総出で守るかと思いましたが、実際はそこまででもない。若手芸人で今回の件に言及する人も出てきている。最初のほうはわかりませんが、現在はかん口令は敷かれていないのだと思いますね」(お笑い関係者)

実はこれこそが吉本の企業風土なのだという。何を隠そう、それを証言したのは松本本人だ。

’19年11月、当時は『チュートリアル』徳井義実の税金問題などが世間を騒がせていた。その際、松本は『ワイドナショー』(フジテレビ系)で次のように語っている。

「1個だけ吉本を褒めるとすればね、何だかんだ言うけど、吉本って大きい会社だし、それなりに力あるんですけど、変なニュースがあった時に抑えないですよね。そこはちょっとほめてあげたいというか……。

世の中の人は当たり前と言うかも分からないですけど、意外と『こんなニュース扱うな』とやる事務所ありますからね。これは意外と吉本やってこなかったんで、僕はそこだけまだ清さはあるのかなと思って。僕ぐらいがフォローを込めて言っておきます」

さらに

「吉本だけはちゃんと逃げずに事件ニュース扱っていく。いろんな番組で扱っていろんなコメンテーターからボロクソ言われる。所属芸人からもボロクソ言われる事務所があってもいいのかなと思うんですよ」

と述べていた。

松本が感心した吉本の文化が、いま当人に向けられているのは何とも皮肉な話だ。テレビ局関係者は

「昨年のジャニーズ問題も大きい。あれで下手な圧力や忖度がしづらい空気になった。吉本はお国とビジネスしているような会社。なおのこと、多種多様な意見を受け入れざるをえない」

と指摘する。“身内”からも批判される松本は今何を思うか――。

FRIDAYデジタル 2/3
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