文春
「得るものと失うものを天秤にかけて、
割に合わないと判断して調査報道から徐々に撤退するメディアが増えている。
それぞれに考え方があると思いますけれど、
週刊文春という雑誌は、昔からスクープ力が一番大きな武器だと考えてきたし、
よそが真似しようと思ってもすぐにはできないものです。
そこを徹底的に磨き上げていこうと考えて、これまでやってきました。

スクープ主義が成果をあげれば、部数も伸びるし、情報提供も増えます。
そうなってくると、週刊文春で勝負してみたいと腕に覚えのある記者がうちに参戦して、
もっとネタが集まり、さらに売れるというスパイラルが生まれます。
雑誌が売れれば取材費だってケチる必要はないし、人員も絞る必要もないし、安定飛行に入ることができます。

一番悪いのは、『訴えられるような記事を書く記者はダメなやつだ』と言って、記者を辞めさせたり、
取材と関係ない部署に飛ばしてしまったりすることです。
スクープ力のある記者に最低限のルールは守ってもらった上で、
のびのびと思い切り仕事をしてもらえるかどうかが大事です。

一度、調査報道の土俵から降りてしまうと、筋肉も落ちてきて、何か起きた時に瞬時に動けなくなります。
緩くて、安心安全な企画モノばかりやっていると、なかなか対応できなくなってしまいます。
我々はそちらの道に行くべきではない、うちしかできないことをとことん突きつめようと考えています。」